勝手にさよなら

浮遊の記録

盗み聴き

先週から全国ツアーが始まった。初日、リハから本番までの空き時間、三ノ宮駅前のドトールでコーヒーを飲んでいたら、隣の女性客2人組がまあまあ目立つ声量で軽快なトークを繰り広げていて、そんなつもりはなかったのだが、盗み聴きをする形になってしまった。「めめは垢抜けてない、芋臭さがかっこええのに!」「ほんまそれ!ハルはキャスティングミスやわ!」「おばあちゃんに優しそうなとこがええところやのに」「わかるー!」

彼女たちが言うには、目黒蓮はその辺にいそうな感じが魅力なのであって、チャラいスター性のある役柄は似合わない、とのことだった。目黒蓮レベルのイケメンがその辺いるわけないだろう、と内心ツッコミを入れながらも、この馬鹿馬鹿しさ、関西弁のリズムや響きにはやはりどうしても癒されてしまう。帰省した関西人は、みんな大体これと同じような、あーこれこれ、このくだらなさ、という感慨に耽るのだと思う。

その後、彼女たちは同じドラマの佐野勇斗今田美桜の役柄についても触れ、同じようにイチャモンをつけていた。そんな言ってやんなよ。いろんな忖度があるんだよ。と、その制作陣の肩を持つ俺は、もしかしたらそうすることで俺自身を慰めているのかもしれなかった。みんな大変だけど一生懸命作ってんだよ。悪く言わないでやってくれよ。

まあそれにしても、普段東京で張っている気が和らいでいくようで、心地の良い時間を過ごさせてもらった。感謝。結局彼女たちの理想は反町隆史竹野内豊松嶋菜々子という結論らしかった。思い出補正というのは偉大だ。